1. 東近江市の豊かな自然とイヌワシ
東近江市の東に広がる鈴鹿山脈には、日本の山地最大の猛禽類であるイヌワシが生息できる潜在的な環境があります。イヌワシが棲む森では、森・里・川、また湖にいたるまで動植物が豊かであることが重要であり、動植物が健全であることは人間の暮らしを支える自然環境の豊かさが求められます。
東近江市内にはイヌワシに関する地名が複数存在することが知られ、昔からこの地域はイヌワシの生息域として存在していたと考えられます。地元住民はイヌワシの生息を認知しており、イヌワシもまた炭焼きや伐採などの森の管理に沿うように地元と共存してきたとされます。
しかしながら2017年以降、東近江市内でイヌワシのペアが消失しました。それ以降、生息は確認されていません。滋賀県全体でみても、1990年には11ペアいたものが、現在は4ペアと減少しています。
全国的にもイヌワシは減少しており、1945年には751ペア生息していたものが、2009年には259ペアまで減少しています(日本鳥類保護連盟 2009)。現在のイヌワシのペア数は、さらに減少しているものと考えられます。